館山昌平から見た石川雅規、その凄み、欠点とは?
ペナントレースが開幕してはや1ヶ月、我らが東京ヤクルトスワローズは苦戦を強いられているなか、燕党としてもうひとつ気になるのは、やっぱり「あの男」の勝ち星だ。
ということで、石川雅規投手の今季2度目の登板翌日となる4月24日に行われたニュースレター「スワローズが好きだ! ~いつも、気づけば神宮に~」のサポートメンバー向けトークライブ。第2回目のテーマは「みんな大好き、石川雅規!!」。ゲストに石川投手の盟友、館山昌平さんを招き、“小さな大投手”のスゴさを解説してもらった。(取材・構成/武松佑季)

石川本『基本は、真っ直ぐ――』、館山本『自分を諦めない』、どちらも長谷川が執筆しました
難しいスライド登板を任された石川投手への信頼
長谷川晶一(以下、長谷川) 今日は「みんな大好き、石川雅規!!」ということで、石川さんについて話をするなら、ゲストは館山さんしかいないだろうと。
館山昌平(以下、館山) まぁ、そうでしょうね。僕しかいないでしょう(笑)。それは冗談ですけど、大学時代を含めて長く一緒にやらせてもらいましたから。
長谷川 さっそくですが、昨日(4月23日)、石川投手が登板しました。
館山 残念な結果でしたけど(1回0/3、6失点でKO)……そういうこともありますよ、野球ですから。
長谷川 昨日の石川投手の調子をどう見ましたか?
館山 すごくいい状態もたくさん見ているなかで、やっぱり昨日はベストな登板ではなかったと思います。スライド登板ってむちゃくちゃ難しいんですよ。
※もともと石川投手が先発予定だった前日のゲームが雨天中止となり、翌日にスライド登板した
長谷川 今月は5試合の雨天中止があって、そもそも先発投手には余裕がある状況でしたが、そこであえてスライドさせるというのは、監督や投手コーチの石川投手への評価が高いということなんですか?
館山 事前の状態とか、今後のローテーションとかいろんなことを見越して、石川さんをスライドさせたほうがチームとして勝つチャンスがある、スライドさせてでも石川さんをカードの頭で使いたいと思っていたのは間違いないと思います。スライドはとても難しいだけに、任されるのはすごくうれしいことでもあるんです。
長谷川 スライド登板はなぜ難しいんでしょうか?
館山 火曜日に登板するとしたら、そこに100%の出力が出せるようにトレーニングからカーボローディングといった食事の摂り方までいろんな調整をする。だから火曜が中止になったからといって簡単に「やっぱり水曜で」というわけにはいかないんですよ。
なぜ石川投手はマツダスタジアムが苦手なのか
長谷川 しかも石川投手はマツダスタジアムが鬼門と言われています。
※今回の敗戦で15年5月以来、勝ち星なしの9連敗
館山 マツダは1塁、3塁後方にエキサイトシート(シート内野砂かぶり)があるじゃないですか。石川さんはそういうところのファールフライでアウトを稼ぐタイプのピッチャーなので、昨日の試合も、先頭の中村奨成選手にインサイドにカットボールを投げ続けているんですけど、ファールで粘られるなかでファールフライでアウトが取れていれば……というところではありましたね。
でも、結果、ヒットを打たれましたけど、インサイドを投げ続けてファールを打たせるという技術はしっかり1軍レベルだったので、状態としてはそこまで悪くはなかったんですけどね。
長谷川 「そこまで悪くない」としたら、何がいけなかったんでしょうか?
館山 昨日に関してはカウント負けと、軸になるボールが見つかる前にランナーを出してしまったところがあるので、先頭打者がアウトだったら展開は違った可能性もあった。
それがアウトにならず長打になってしまい、1点を与えないように大事にいろんなボールを投げて……という繰り返しが裏目に出て大量失点になってしまったのかなと。
長谷川 いきなりランナーを背負ってしまうと、当然、その後の盗塁警戒もあるし、その後の配球にも影響してきますからね。具体的に言えば、どのような変化がありますか?
館山 ランナーがいることで盗塁されるリスクがある緩いシンカーが投げられず、緩急が使えない状況が続いたことも苦しかった。カットボール以外の球の強弱、ボール一つ分の出し入れが、スライド登板でうまくいかなかったこともあるかもしれませんね。