山田哲人は今、何を思っているのだろう……

「ミスタースワローズ」の今後進むべき道とは?
長谷川晶一 2025.05.30
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(山田哲人は何を感じているのだろう……)

ここ最近、そんな思いを抱きながら、神宮球場のスタンドに座っています。この3連戦に限って言えば、

27日……3打数0安打(6番起用) 二邪飛 二飛 空三振

28日……4打数0安打(5番起用) 中飛 三直 遊併打 空三振

29日……4打数1安打(7番起用) 三ゴロ 中安 三併打 右飛

3日間で11打数1安打という成績でした。この数字以上に、「凡打の内容が悪い」と言えばいいのでしょうか? 力のない打球による凡打、あるいは腰砕けのような空振りが目立ちます。さらに、守備においても記録に残らないミス、あるいは球際の打球への対応など、かつての彼であれば難なくこなしていたことができていない姿も目につきました。

そんな姿を見ていて、冒頭に掲げたように(山田哲人は何を思っているのだろう……)、ついついそんなことを考えながら、この3日間を神宮球場で過ごしました。明らかにかつての山田選手とは違います。誤解を恐れずに言えば、目の前にいる「この山田」は、かつて多くの人々を魅了した「あの山田」とは完全なる別人だと言っていいでしょう。

「この山田」と「あの山田」——。

僕だけでなく、多くの人がそう感じているのではないでしょうか? この3日間だけでも「ここで山田が打っていれば、チームに勢いが出るのに……」という場面での力ない凡打で、一気に意気消沈してしまう。そんなシーンが何度も見られました。

もちろん、本人こそ、「かつての自分」と「今の自分」とのギャップを痛切に感じていることでしょう。昨年、青木宣親選手が現役を引退し、今年は副キャプテンの村上宗隆選手、内野の要に成長した長岡秀樹選手が離脱したことで、期する思いを抱いてグラウンドに立っているはずです。キャプテンとしての責任感を、さらに強く感じていることでしょう。だからこそ、結果が出ないことに対して、ふがいなさ、あるいは情けなさを感じているのではないでしょうか?

SNSを見ていると、「どうして、髙津臣吾監督はここまで山田にこだわるのか?」「山田を外して、若手を起用すべきではないか?」といった声が多く見られます。坂本勇人選手をファームに落としたジャイアンツの阿部慎之助監督を引き合いに出し、「阿部監督を見習え」とか、「山田をえこひいきするな」という声もありました。

その意見も、よく理解できます。現状の山田選手を見ていると、「ちょっと厳しいなぁ……」と、正直思います。けれども、髙津監督は山田選手にこだわり続けるはずです。数年前、監督はこんなことを語っていました。

「哲人には試合に出続ける責任がある」

チームの中心選手である以上、そして高額年俸をもらっている以上、どんなに不振であろうとも、試合に出続けて背中でナインを鼓舞していく責任がある。そんな趣旨の発言でした。もちろん、数年前と現在とでは状況が異なります。山田選手は加齢し、コンディションも以前とは違います。それでも、監督の根本的な考えは変わっていない。僕はそう思っています。

この考えに対して賛否があることは承知しています。けれども、それでも監督は山田選手にこだわり続けるでしょう。「山田哲人をスタメンから、いや、試合から外すとき」、あるいは「ファームに落とすとき」こそ、髙津監督の重大な決意の瞬間だと言えるかもしれません。

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