山野太一——あの「男と男の約束」を覚えているか?

すっとぼけたキャラもたまらないです
「あの、僕、どこにサイン書いたらいいでしょうか?」
ペンを持ったまま、キョロキョロ、オドオドしていた山野太一投手の姿を、僕は今でも覚えています。
昨年のキャンプイン直前。さだまさしさん主催の「投手壮行会」にお邪魔したときのことです。参加していたのは、石川雅規、小川泰弘、清水昇、高橋奎二、大西広樹、木澤尚文、奥川恭伸、そして山野太一の8投手。このとき、おいしい料理をいただきながら、楽しい時間を過ごしました。
そろそろお開きという頃、石川投手が取り出したのが、2025年のスワローズ公式カレンダーでした。参加者へのプレゼントとして、選手たちがそれぞれサインを入れてくれたのです。
石川投手と小川投手は、星知弥選手とともに写っている9月のページに。木澤投手と大西投手は、6月のページに。みんながワイワイにぎやかにサインを書き込む中、山野投手だけは、自分がどこに書けばいいのかわからずにいました。そのカレンダーには、彼の写真が載っていなかったのです。
「山野、どうした?」
声をかけた石川投手も事情を察し、一瞬、困惑の表情を浮かべました。そして、こう言いました。
「じゃあ、この表紙に書いちゃえ。しかも、ムネ(村上)のところにしなよ」
「ここでいいですかね?」
とまどいながら、山野投手は表紙にサインを書き始めました。こうして、村上宗隆選手の写真の脇に、背番号26のサインが入ることになったのです。それが、この写真です。

なぜか村上宗隆の横にある背番号《26》のサイン
そうです。昨年8月、このニュースレターで紹介した出来事です。覚えている方もいらっしゃるでしょうか。「もう忘れちゃったよ……」という方は、こちらをご覧ください。
ここにもあるように、この日の帰り際、僕は山野投手に声をかけました。
「来年のカレンダーには、ぜひ山野投手のページもほしいですね」
余計なひと言かな、とは思いました。でも、僕なりのエールのつもりでした。すると、彼は答えました。
「絶対に載ります!」
「約束ですよ。今年、大活躍して、ぜひ来年のカレンダーに大きく載ってほしいです!」
彼がこのやり取りを覚えているかどうかはわかりませんが、僕は勝手に「男と男の約束だ!」と受け止めていました(笑)。だから、昨年は山野投手のことが気になって仕方ありませんでした。故障もあり、思うように一軍のマウンドに立てない時期が続いた。それでも、8月30日には4カ月ぶりとなる2勝目を挙げました。
その翌日に書いたのが、先ほどの記事です。当時の僕は「シーズン5勝に到達すればカレンダーに載るのも現実的になります」と期待を込めて書きました。そして、山野投手は、2025年シーズンを5勝で終えました。
さて、約束のカレンダーはどうなったのか。載っています。2026年の11月です。清水投手、木澤投手、松本投手とともに、山野投手も名を連ねています。
「絶対に載ります!」
あの言葉は、ちゃんと現実になりました。今年のカレンダーには、自分の写真がある。もう、どこにサインを書けばいいのか迷うこともありません。まずは、約束達成。おめでとう。そして、ありがとう。
でも、今回、改めてこの話を書きたくなったのは、そこから先があるからです。今年の山野投手は、12勝4敗、防御率2.33。昨年の5勝から、大きく成績を伸ばしました。
