ものごとにはじゅんじょがあります。とうぜん、ぼくのほうがさきにいなくなるとおもうので、こころのじゅんびをしていてほしいな。
夜分の配信、失礼いたします。信じられない出来事に、ただただ言葉を失うばかりです。19日夕方から、SNS上では「つば九郎を支えてきた社員スタッフが亡くなった」という情報が錯綜し、それから数時間後、会食中に公式での発表を知り、今こうしてパソコンに向かっています。今月上旬、体調不良で休養を発表してからまだ間もない突然の訃報に、誰もが驚きを隠せず、そして悲しみに包まれています。

個人的な思い出話をさせてください。
僕が社会人デビューした年と、つば九郎のデビューが同じで、同世代ということもあり、球場やイベント会場で会うたびに、あいさつを交わす間柄でした。彼はしばしば、自分の腕をポンポンと叩きながら、僕のことを指差しました。最初は意味がわからなかったのですが、話の流れから、僕の文章を褒めてくれていたようで、「腕がいい」という意味だとわかりました。
2022年秋から2023年の冬まで、スポルティーバにて「つば九郎の人生相談」連載を担当しました。読者からのお悩みに対して、つば九郎がテキパキと回答を示していく内容で、毎回人気ランキングの上位となる好評連載でした。
僕は「話し相手」として、この連載に関わっていましたが、毎回毎回「今回はどんな答えになるんだろう?」と楽しみでした。こちらの予想を大きく上回る回答に、取材現場はいつも和やかな雰囲気に包まれていました。
この連載の中で、忘れられない「悩み相談」がありました。投稿者は「小学3年生の男の子」でした。彼の相談は「僕はまだ小学校3年生ですが、つば九郎が自分より先にいなくなるのが今から心配です。どうすればよいでしょうか。」というものでした。大人から見ればかわいらしい質問ですが、当人にとっては切実な悩みだったのでしょう。
(はたしてつば九郎は、どんな回答をするのかな?)
僕も興味津々でした。すると、つば九郎はいつもとは違う真面目なトーンで、こんな回答をしました。
つば九郎 ものごとにはじゅんじょがあります。とうぜん、ぼくのほうがさきにいなくなるとおもうので、こころのじゅんびをしていてほしいな。
詳細は、下記のリンクから全文をご覧いただきたいと思いますが、質問者の気持ちを思いやる優しい回答に驚きました。このときの取材はとても印象に残っています。このとき、真剣に「引退」について、そして「死」について語っていたからです。
以前、ある鮨屋でつば九郎とたまたま一緒になったことがあります。僕も彼も、お酒が好きで、ついつい呑み過ぎてしまうタイプなので、「お互い、ほどほどにしようね」と話したことを思い出しました。まだ「さよなら……」とは言いたくないです。今はただ「お疲れさまでした。そしてどうもありがとうございました」としか言えません。気持ちの整理がつかず、まとまりのない文章となってしまいました。どうぞ、安らかにお眠りください。どうもありがとうございました。合掌。
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