ありがとう、パトリック・ユウさん!
昨晩遅く、衝撃的なニュースが流れました。神宮球場の名物であり、もう一つの華でもあるスタジアムDJのパトリック・ユウさんが、昨シーズン限りでMC業務を卒業するという知らせです。
実は、この件について事前にパトさんから聞いていました。初めて聞いたときには「そんなことがあるはずないじゃないか」と、まったく信じることができず、それでも本人は真剣な表情、口調なので、「えっ、本当に、本当のことなんですか?」と何度も念を押してしまいました。
だから、12月に開催された「スワローズ研究所」公開イベントでも、サプライズゲストとしてパトさんに来場してもらいました。ぜひ、お客さんの前で、「ゴー、ゴー、スワローズ!!」コールを披露してもらいたかったからです。
お客さんが楽しそうに一緒にコールしている姿を見ながら、僕はステージ上で、(これがファンの前で披露するパトさんの最後のコールになるのかな……)と、一抹の寂しさを感じていました。
先日、ある芸人さんとお酒を呑みました。その彼が突然、言いました。
「パトさん、辞めるんですか?」
正式発表前の極秘事項だと理解していたので、僕は内心ではかなり動揺していたものの、「えっ、どうして?」と平静を装って尋ねました。
「いや、うちの事務所に神宮球場スタジアムDJのオーディション案内が来ていたんです。他の事務所にも話はいっているようで、若手芸人たちの間で話題になっています」
改めて、目の前に現実を突きつけられたような気がしました。キャンプインを目前にし、オープン戦、シーズン開幕を控えた今、大至急後任探しを進めなければいけないのは当然のこととはいえ、やはり寂しさは拭いきれません。
ご本人の口から説明があるまでは、詳細についてここでは控えますが、あまりにもショックで、あまりにも悲しいです。新監督が誕生し、つば九郎も再登場するタイミングで、場内演出を一新する目的なのかもしれませんが、それにしてもあまりにも突然で、あまりにも寂しいです。
上で紹介したパトさんのXは「00:46」の投稿となっています。深夜ではあったものの、僕はすぐにパトさんにLINEしました。ほどなくして返信がありました。これまでの功績を労いつつ、近々、酒を呑む約束をしました。
やり取りを終えた後、じわじわと寂しさが募ってくるのが、自分でもよくわかりました。すでに心の整理をつけていたはずなのに、いざ現実のものとなると、やはりそう簡単に割り切れるものではなかったのです。
パトさんとはいろんな球場で観戦し、酒場ではたくさんのビールを呑みました
スタジアムDJとして心がけていることを、パトさんに尋ねたことがあります。以下、拙著『神宮球場100年物語』より抜粋いたします。
神宮球場で見ていて、気がついたことがある。選手との距離が近いつば九郎は、選手のことを「○○くん」と親しく呼んでいて、手持ちの画用紙にもそのように書いている。
しかしパトさんは、それをそのまま読み上げることはせず、必ず「○○選手」と発している。この気遣いこそ、パトさんの真骨頂である。
「そうですね。その辺りは気をつけています。理由ですか? 選手と親交のあるつば九郎が君付けで呼ぶのは当然だけど、私がそのまま口にするのは馴れ馴れしいじゃないですか。その辺りはあえて一線を引きたいと考えています」
さらに心がけているのが「ネガティブな言葉を使わない」ということである。
「言葉選びには細心の注意を払っています。自分の中では“ネガティブな言葉は絶対に球場には必要ではない”と思っています。例えば、“昨日は負けましたが……”という言葉は絶対に使いたくないので、そういうときには“勝利まであと一歩でしたが……”と言うようにしています。そういう言葉はいくつもありますね」