石川雅規が語るつば九郎、そして今季への思い
2021年から始まった、『週ベオンライン』・同時進行ドキュメント。連載6年目となる、「2026年の石川雅規」が今年もスタート。2026年も、この連載に関わることができること、無事に連載6年目を迎えることができて感無量です。
ベースボール・マガジン社の編集者から、「何か書籍を出しませんか?」と連絡をもらったのが、2020年のこと。僕自身、やりたいテーマはいくつもあったのですが、編集者からの提案の中に『石川雅規本』というものがあり、僕は俄然、ヤル気に搔き立てられました。
とはいえ、現役選手の場合はあくまでも試合や練習優先であるため取材時間が限られます。さまざまな制約もあります。さらに、現役選手である以上、常に現在進行形であり、後から振り返って「あのときはこうだった」というような振り返りが難しいものです。そこで、僕は編集者にこんな提案をしました。
「書籍を出すのは、彼が現役を引退したときにしたい。それがいつになるのかはわからないけど、それまでは定期的に話を聞き、試合や練習を見て、引退後、ゆっくりと過去を振り返ることができるようになったときに改めてじっくりと話を聞いて、一冊にまとめてみたい」
自分でもわがままな要望だと理解していました。けれども、一ファンとしては「一年でも長く現役を続けてほしい」と願いつつ、一ライターとしては「彼がどんな現役晩年を迎えるのか?」ということにも興味がありました。これだけの実績がある選手は何を考え、どんな思いで現役晩年を過ごしているのか? その姿を間近で見届けたいと思い、逆提案をしたのです。
幸いにして、編集者は僕の勝手な提案を受け入れてくれ、「では、連載という形で定期的に話を聞き、それをWebで発表しつつ、改めて書籍として出しましょう」と言ってくれました。そして、ヤクルト球団に、そして石川選手本人に、この企画を提案すると、球団からは「石川の判断に任せます」と言われ、石川選手からは「面白そうですね、ぜひお願いします」と快諾していただきました。
こうして2021年3月から連載がスタートし、今年で6年目を迎えることになりました。今はただ「今年もきちんと話を聞いて、きちんと彼の言葉、その姿をとどめておきたい」という思いでいっぱいです。
さて、今年最初の更新は、【第四十四回 「夢中になるって、すごい」石川雅規の“プロ生活25年”を目前に控えた心境とは】というタイトルがついていますが、メインテーマは「2025年シーズンの総括」です。8試合に登板して、2勝4敗、防御率8.13という成績に終わった2025年について、本人の言葉で振り返ってもらうことが狙いでした。
当然、自身の成績やコンディションについてだけでなく、昨年2月の衣笠剛会長、そしてつば九郎担当スタッフの訃報について、さらにシーズン終了後の髙津臣吾監督の退任についての話題になりました。石川選手は言いました。
「会長には本当にお世話になったし、つば九郎とは常に一緒にいました。やっぱり、チームに欠かせない人たち、大切な存在を失ってしまうと、こんなに喪失感が大きいものなのだなって強く感じますよね。やっぱりあの頃はメンタル的にもしんどかったですね」
そして、つば九郎の「不在」について、こんな言葉を残しています。
「“近くにいたかった”という思いがいちばんですよね。“ぱとろーるに行きましょうよ”って……」
実は、これ以外にも多くの思いが、彼の口からは飛び出しました。その言葉を聞いていると、いまだに複雑な心境を抱えていることが理解できました。
「いつもいるはずの人がいないんですから……」
という言葉は特に印象に残りました。彼の携帯には、つば九郎とのツーショットがたくさん残っているそうです。彼は、こんなことも言いました。