今年の山田哲人をどう評価すればいいのか

2026年を振り返る・その4~山田哲人をめぐる葛藤~
はせがわ 2026.10.18
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はにかんだ笑顔がいい感じ。10月2日のヒーローインタビューより。

はにかんだ笑顔がいい感じ。10月2日のヒーローインタビューより。

山田哲人が、いない——。

2026年のスワローズを振り返ると、まず思い出すのは、そんな心もとない時間である。ここ数年、山田は本来の力を発揮できずにいた。三度のトリプルスリーを達成し、当たり前のように打ち、走り、チームを勝利に導いてきた男である。あの頃の山田を知っているだけに、最近の姿にはどうしても物足りなさがあった。

2025年限りで髙津臣吾監督が退任した。キャプテンとして髙津監督を支えてきた山田には、力になれなかった悔しさがあったはずだ。もちろん、本人に確かめたわけではない。僕が勝手にそう思っているだけである。

だからこそ、2026年は違うはずだった。新しい監督の下で、もう一度、山田哲人という選手の底力を見せてくれる。そう期待していた。

ところが、沖縄・浦添の春季キャンプで、山田は早々に離脱した。左内腹斜筋の肉離れ。僕もキャンプ取材に出かけたけれどちょうど入れ違いになり、グラウンドでの山田を見ることはできなかった。

嫌な予感がした。

その予感を振り払うように、復帰を待った。しかし、なかなか戻ってこない。ファームの試合にも姿が見えない。5月末にようやく実戦に復帰したと思ったら、今度は左もも裏の張りで、6月には再び出場できなくなった。ちょっと顔を見せたと思ったら、また姿を消してしまう。

(いったい、山田哲人はどうしているのだろう……)

いつ戻ってくるのか。今度こそ戻ってこられるのか。気にかける時間が長くなるほど、不安は膨らむ。きっと本人も焦っているはずだ。ようやく始まった新しいシーズンなのに、何もできないまま時間だけが過ぎていく。その歯がゆさを思うと、こちらまで落ち着かなくなった。

山田を待っていた理由は、打撃成績だけではない。

青木宣親が引退し、川端慎吾もユニホームを脱いだ。チームの中心にいた村上宗隆は海を渡った。そして2026年、結果的に今季限りで石川雅規も現役を退く。かつてのスワローズを支えた顔ぶれが、一人、また一人といなくなっていく。

若い選手は育っている。それでも、チームの真ん中にどっしりと立っていてほしい男がいる。僕にとって、それは山田哲人だった。山田しかいなかった。

いつも大きな声でチームを引っ張る必要などない。そこにいて、打席に立ち、守備につく。背番号1の背中があるだけでいい。それだけで若い選手は何かを感じるのではないか。少なくとも、スタンドにいる僕はそうだった。

山田自身も、そんな立場をわかっていたのではないか。みんなの期待を一人で背負い、何とか応えようとして、無理をしたのではないか。しまいには、そんな想像まで始めていた。重圧が故障の原因だったかどうかなど、わかるはずもない。山田クラスになれば、少々の重圧で潰れるはずもないだろう。僕の勝手な妄想である。

ただ、山田がいないスワローズには、決定的に何か大事なものが欠けているように感じていた。

山田が一軍に戻ってきたのは、8月22日のバンテリンドームだった。正直に言えば、遅かった。シーズンはもう終盤に差しかかろうとしていた。それでも、嬉しかった。

神宮球場のスコアボードに「山田」の文字がある。ライトスタンドから、あの応援歌が聞こえてくる。それだけで、ようやく日常が戻ってきたような気がした。

けれども、喜んでばかりはいられなかった。

内野ゴロを打っても、かつてのように一塁まで全力で駆け抜ける姿は見られなかった。僕らの記憶にある山田なら、内野安打になるかどうかという打球ならば、最後まで全力で駆け抜けていた。その記憶が鮮やかなだけに、今の姿を見つめるのが辛かった。目の前にいるのは、あのトリプルスリー男の面影を残しながらも、明らかに以前とは違う山田哲人だった。

故障の影響なのか、年齢を重ねたからなのか。僕にはわからない。ただ、目の前の姿を見れば、何も変わっていないなどとは言えなかった。認めたくなかった。けれども、認めるしかなかった。

いるだけでいい、と思う。いや、それでは困る、とも思う。帰ってきてくれた喜びと、もっとやれるはずだという物足りなさが、胸の中でぶつかり合っていた。

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