2025年開幕戦を奥川恭伸に託す理由

『東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025』(アルファポリス)より
3月28日となりました。球春、あけましておめでとうございます。プロ野球ファンにとってのお正月です。2月の春季キャンプ中には球団を支えてきた功労者たちの訃報が相次ぎ、3月に入ると、キャプテン、副キャプテン、そしてリード・オフ・マンの故障が続いて絶望の淵に沈んだものの、それでも朝はやってくる。それでも開幕はやってきます。
そして、開幕を迎えたこの日、今年もアルファポリスにて、髙津監督連載『東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025』がスタートしました。監督就任と同時に始まったので、連載も6年目に突入しました。シーズン中にもかかわらず、そのときどきの心境を語っていただく連載です。長いペナントレースですから、いいときもあれば悪いときもあり、健やかなるときも病めるときもありました。監督初年度は最下位に沈んだものの、就任2年目は日本一、3年目はセ・リーグ連覇を達成しました。そして2023、2024年は連続5位という結果に。
どうして、ここまで浮き沈みが激しいのか? と思いつつ、過去5年間、毎月お話を聞いてきました。そして、今年も本日から連載が始まりました。
第一回のテーマは、「いよいよ始動する髙津スワローズ2025――開幕を奥川に託した並々ならぬ思いを明かす」です。詳しくは下記リンクから、記事をご覧ください。
……ということで、本日のニュースレターはこの日の取材のこぼれ話をお届けしたいと思います。
今回のメインテーマは、「どうして、開幕戦を奥川投手に託すのか?」「そこにはどんな思いが込められているのか?」ということでした。本文にも書いたように、これまでの監督の言葉の端々から、奥川投手に対する「特別な思い」を感じ取っていました。故障明けの彼に、大事な初戦を託したのは、当然、監督なりの期待もあれば勝算もあるはずです。
「誰もが特別な選手だ」と前置きした上で、監督は言いました。
今年に関しては、他にも有力な候補がいるにも関わらず、ヤス本人に対しても、チームに対しても、「2025年はこんな気持ちで、こんな形でスタートするよ」というメッセージを込めたつもりです。
監督が口にした「他にも有力な候補」というのは、第2戦に投げる吉村貢司郎投手であり、第3戦に登場する高橋奎二投手のことでしょう。彼らではなく、奥川投手に大事な初戦を託す。その意味とは? ここからは完全な僕の主観となりますが、奥川投手を指名した理由は「彼は天の支配下選手だから」ということに尽きるのではないでしょうか?
以前、このニュースレターでも触れたように、かつて野村克也監督は、荒木大輔投手のことを「彼は天の支配下選手だから」と言い、「緊張なんてしないし、他の選手とは比べ物にならないほどの修羅場を経験している」と口にしました。そして、勝負をかけた1993年日本シリーズ初戦を荒木投手に託し、シリーズを制覇しました。さらに「生まれながらに手にしているスター性は、努力して身につくものではない」とも言いました。