館山昌平が分析する石川、そして奥川恭伸の「現在」
4月24日に行われたニュースレター「スワローズが好きだ! ~いつも、気づけば神宮に~」のサポートメンバー向け館山昌平氏とのトークライブ配信。
第2回目のテーマは「みんな大好き、石川雅規!!」ということで、前編では石川投手の今季2度目の登板を振り返ったが、後編では館山氏もさんざん悩まされた「故障」について話が及ぶ。(取材・構成/武松佑季)
前編「館山昌平から見た石川雅規、その凄み、欠点とは?」はコチラ。

マルハン北日本カンパニー硬式野球部の練習見学に
石川投手が故障離脱しないワケ
長谷川晶一(以下、長谷川) 館山さんへの質問がたくさん来ているので、どんどん読んでいきます。続いては「石川投手が長く現役を続けられている理由は何ですか?」という質問です。
館山昌平(以下、館山) 技術があるからです。技術があって、それが衰えないってことなんですよ。石川さんは大学3年生でシドニー五輪代表になっているように、ずっと世代のトップでやっていて、そこから努力を怠らず技術を磨いてきたから今も現役でいられるわけです。
長谷川 プロ入りする選手はみんな技術があると思います。石川さんはどうしてそれが可能なんですか?
館山 なんですかね。永遠の少年だからっていうのもあるんですけど、負けず嫌いでずっと課題に向き合い続ける根気強さがある。
長谷川 だからケガもしない?
館山 もうすでにどこかケガはしてると思います。常に不調な場所は一ヶ所以上、持ってるはずです。でも、それを補う技術として、悪化しないような投球フォームを常に追求してるということなんですね。今の体の状態と付き合いながら、試合で抑えるためにどうベストを尽くすかがわかっているから故障離脱しないんじゃないでしょうか。
長谷川 続いては、現役時代に何度も故障、手術してリハビリをしてきた館山さんにこそ伺いたいという質問です。「ケガをしている選手が掛けられてうれしい言葉は?」
館山 その時の気分だったりケガの進捗状況にもよりますけど、「がんばって」でも「待ってるよ」でもどの言葉でもありがたい。ただ、その反面、どの言葉もプレッシャーを感じますよね。
長谷川 ファンとしては余計なプレッシャーはかけたくない。でも、胸いっぱいの思いは伝えたい。すごく悩ましいです。
館山 一番キツいのは自分がいなくてもチームが勝ちすぎちゃってるときですね。僕自身、「自分抜きでも勝てるんだったら退こうかな……」と何回か考えたこともありました。自分がケガしてるタイミングで優勝してたら辞めてたと思います。やっぱりプロって戦ってナンボなんで。
奥川投手が手術を決断しないのは…
長谷川 現在、村上宗隆選手や塩見泰隆選手が故障離脱中ですが、館山さんならなんて声を掛けますか?
館山 専門的なことは抜きにして、フランクに声を掛けるなら「いないから負けちゃうじゃん。早く戻ってきてよ」とかですかね。そういう言葉のほうが必要とされてるんだなって選手も感じると思うんですよ。繰り返しになるけど、自分がいなくても勝った日がキツいですから。
長谷川 ヤクルトは伊東昭光さん、川崎憲次郎さん、伊藤智仁さん、そして館山さんもそうですけど、カムバック賞受賞者が多いじゃないですか。シンプルに故障者が多いということでもあるんですけど、奥川(恭伸)投手も今後復活すればその可能性があると思うんですが、館山さんは奥川投手についてどう見ていますか?
館山 まず、奥川投手が手術をすべきか保存療法かっていう選択肢の中で、誰一人として彼のレントゲン写真を見たわけでもないのに、「手術をすべきだ」って声があるじゃないですか。