「もう、帰ろう」、……絶望を感じたあの日の希望

25年6月20日・スコアボードを見ると2回裏の攻撃中
ニュースレター読者のみなさんこんにちは。今日は静岡での一戦ですね。東京も雨ですが、静岡は「午前中は大雨で、試合前には上がる」という予報だと聞きました。無事に試合が行われることを期待します。
さて、先日からこのニュースレターの「スレッド」機能を使って、「あなたが選ぶ、前半戦ベストゲーム、MVPを教えてください!」と題して、読者のみなさんの声をお聞きしています。近々、この結果を基にしたコラムを書こうと思っていますが、この回答を見ているだけで「あぁ、確かにな」とか「なるほど、そうだよね」と、つい数カ月前の試合を思い出しています。
もちろん、僕も「前半戦ベストゲーム」をリストアップしながら、「これかな、あれかな?」と頭を悩ませています。……と言っても、ここまでまだ24勝しかしていないので、それほど迷うこともないのですが(自虐)。
さて、こうして試合を振り返っていて、「ある試合」のことが痛烈に脳裏によみがえりました。6月20日、神宮球場で行われた「スワローズ対バファローズ」の初戦です。この日僕は、今シーズン初めて、「この回が終わったら帰ろう……」と思いました。仕事や用事があったからではありません。あまりにもふがいなくて、情けなくて、「もう見てられないよ」と思ったからです。
しかし、結果的にこの日は途中で帰ることなく、試合終了まで神宮球場にいました。あの日感じた「絶望」と「失望」、そして試合後に感じた「不思議な感覚」は今でも強く印象に残っています。
あの日、僕はこんなことを感じていました。
先発は小川泰弘投手とエスピノーザ投手です。初回、いきなり宗選手に先制の1号2ランを打たれ、あっという間に若月選手にタイムリー安打を喫して3失点。試合開始早々から、「今日は観戦モードから、呑みモードにシフトチェンジするかな?」となってしまいました。
2回裏、スワローズは2点を返します。交流戦で飛躍のきっかけをつかんだ伊藤琉偉選手の見事なタイムリーヒットでした。
(これでようやく反撃態勢が整った……)
そして3回裏にはオスナ選手のタイムリーで3対3の同点に。
(よしよし、試合はここからだ。頼むぞ、ライアン!)
しかし、問題はここからです。4回表、せっかく同点に追いついたものの、ライアン投手はすぐに2点を失い、あっという間に3対5となってしまいました。
(これが今年のスワローズだよ……)
今シーズン、何度も見た光景に対して、僕は投げやりな気持ちでグラウンドを見つめていました。再び、「観戦モード」から、「呑みモード」にシフトチェンジしようと、ビールの売り子さんを探しているときに、「ソレ」は起こりました。
勝ち越しを許した直後、なおも続くピンチにおいて、太田選手に3ランを浴びてしまったのです。この瞬間の感情は、自分でも驚いてしまいました。
自分の意思に反して、なんと、涙が出てきてしまったのです。一瞬で視界が曇ってしまいました。その感情を言葉で表現するとするならば、「情けない……」という思いでしょうか?
(相手も同じプロじゃないか、どうしてここまで差がつくんだよ……)
ここで言う「差」とは、「点差」のことではありません。プロ野球選手、プロ野球チームとしての「差」でした。2021年、2022年にはともに日本シリーズを戦ったバファローズです。ともに熾烈な戦いを繰り広げ、僕は勝手に「いいライバルだ」と思っていました。
ところが、ここ数年で、あっという間に彼我の差は大きく開いてしまった。そんな現実に直面して狼狽してしまったのです。この瞬間、本気で思いました。
(もう帰ろう、見ていられない……)