石川雅規が語る、髙津監督への惜別の辞
こんにちは。昨日は衝撃から始まった激動の一日であり、同時に感動的な試合に感涙した一日でもありました。村上宗隆と山田哲人のアベックホームラン。「ひょっとしたら、これがひとまずの見納めかも?」と思うと、その瞬間ウルっときてしまいました。
そして、7回裏の「代打川端」のコール。そして、美しすぎるツーベースヒット。試合後のヒーローインタビューも含めて、スワローズ史に残る名場面の連続でした。それにしても、いいインタビュアーだと、お立ち台もさらに充実した感動的な舞台となりますね。
そして、いよいよ今日が本当のラスト。髙津臣吾監督、村上宗隆選手、そして川端慎吾選手の「神宮ラスト」です。今日は、心して観戦すべく、少し早めに家を出ようと思い、朝からひたすら原稿を書いています。
さて、本日は週ベオンラインの石川雅規連載連載43回目が公開されました。今回は《石川雅規が考える“高津野球”とは――「野村野球を現代版にアップデートすること」》と題して、去り行く髙津監督への、石川からのラストメッセージをメインテーマとしています。詳しくは、以下をご覧ください。
ということで、本日もこのときの取材エピソードをご紹介したいと思います。
この日、「本日は髙津監督の退任について伺いたい」と告げると、石川さんは珍しく「困ったな……」と困惑の表情を浮かべています。
僕は、(一体、何が困るのだろう?)と、その真意を測りかねていました。しかし、話しているうちに、彼が困惑していた理由が理解できました。開口一番、彼が口にした言葉にそのヒントがありました。
「言葉にならないというのか、何とも言えないというのが正直な思いです……」
連載記事でも書いたように、口数が少なかったのは、その根底に、「もっと自分が頑張っていれば……」という無念の思いが渦巻いていたからです。「もっと自分が頑張っていれば、監督が辞めることもなかったのに……」という思いが石川投手の心に息づいていたからです。
この数日前に、僕は髙津監督にインタビューしていました。その最後に「残り試合でやるべきこと、取り組みたいことは?」と質問しました。以下、その問答を引用します。
――残り試合も20試合を切りました。まだ在任期間は残っていますし、試合も続きます。残り試合で、監督としてやるべきこと、達成したいことがあれば教えてください。
髙津 ファームで頑張っている若い選手に、一軍でいろいろな経験を積ませたいという思いもあります。でも、ちょっとその質問とはズレるかもしれないけど、今ファームにいる石川(雅規)だったり、川端(慎吾)だったり、まだリハビリ中ですが塩見(泰隆)だったり、もう一回、同じユニフォームを着てグラウンドに立ちたい。彼らと長く接してきて、もう一度、同じユニフォームでグラウンドに立ちたい。その思いは強くあります。勝敗はもちろんですけど、残り試合を全力で楽しみますよ。
このとき、髙津監督は「ちょっとその質問とはズレるかもしれないけど」と前置きしつつ、「今ファームにいる石川(雅規)だったり、川端(慎吾)だったり、まだリハビリ中ですが塩見(泰隆)だったり、もう一回、同じユニフォームを着てグラウンドに立ちたい」と、ハッキリと答えています。
僕にとって、この答えは意外でした。ここまで明確に、監督が「個人的願望」を口にしたことがなかったからです。
そして、この一件について石川投手に尋ねました。
「実は監督は、“最後に石川、川端、塩見と一緒にグラウンドに立ちたい”と言っていました」
すると、彼はこう言いました。
「知っています。その記事を読みました……」