センシティブな大西、笑顔の内山

大西広樹、内山壮真インタビュー・取材後記
はせがわ 2025.09.11
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現在発売中の『週刊ベースボール』『Number』より

現在発売中の『週刊ベースボール』『Number』より

こんにちは。9月8日のニュースレターで配信したように、昨日10日発売の『週刊ベースボール』には大西広樹投手、今日11日発売の『Number』には内山壮真選手インタビュー記事が掲載されています。

『週刊ベースボール』の大西選手インタビューは「冷静と情熱の間で」と題されています。編集者がつけたタイトルですが、まさにその通りの内容となっています。

今シーズンは二軍キャンプから始まり、開幕二軍スタートで幕を開けたものの、現在は防御率1.09という見事な成績を残しています。

しかし、本人の表情は冴えません。実は開幕からずっと「昨年までの感覚が取り戻せない」のだそうです。驚いたのは、彼が口にしたこんな言葉でした。

――開幕後から現在まで、かつての感覚は取り戻せましたか?

大西 正直なところ、まだ本来の感覚は戻り切ってはいません。実際のところは不安を抱えながら、その日その日でなんとかやっている感じです。

なんと彼は、現在もまだ去年までの感覚が取り戻せておらず、手探り状態でマウンドに上がっているというのです。「感覚」を失ってしまったのはどうしてなのか? どうやって「不安を抱えながら」日々のマウンドに立っているのか? 詳しくはぜひ記事を読んでいただければ幸いです。

大西選手にインタビューするのは、今回が初めてのことでした。以前、髙津臣吾監督がこんなことを言っていました。

「大西はようやくピッチングを覚えたように思います。中継ぎ投手として大切な“試合を読む”ことができるようになった。“このバッターはフォアボールでもいい”とか、“ここは1点を与えても構わない”とか、“ここはあえてボールを投げよう”とか、試合を見通す力が身についてきた」

要約すればこんな内容のことを話していました。また、伊藤智仁コーチからはこんな言葉を聞いていました。

「大西、アイツ、アホやな(笑)」

伊藤コーチがしばしば口にする「アホやな」は最大の誉め言葉です。どのようにアホなのかを尋ねると、こう言いました。

「ここぞという場面では腹をくくって勝負することができる。肝が据わっていて度胸もある」

やはり、要約すればそんな内容のコメントでした。あれは2021年のリーグ制覇のことだったでしょうか? 優勝直後のグラウンドで伊藤コーチを中心に投手陣で記念写真を撮っていました。カメラを前に伊藤コーチが言いました。

「オレたちは負け犬か?」

それに対して、大西投手が叫びます。

「負け犬じゃありません。狼です。ワォーーーーン!」

犬の遠吠えではありません。狼の叫び声です(笑)。興奮していたので、僕の記憶もあやふやですが、確かこんなやり取りが展開されていたように思います。この一件が強く印象に残っていたので、僕は勝手に「明るくてノリのいい関西人」という印象を大西投手に対して持っていました。

ところが、今回のインタビューではまったく印象が異なりました。まず驚いたのは「声が小さい」ということ。消え入りそうな声で、「まったくダメです」「感覚は戻らないです」と辛そうな表情で話している姿を見て、僕は内心で(そんなことないよ、大丈夫だよ……)と考えていました。

今年、スワローズから唯一出場したオールスターゲームの話題になると、少しだけ表情が和らぎましたが、それでも終始淡々と、そして冷静に話している姿が、僕にとっては新鮮で、同時に頼もしく、そしてカッコよく映りました。

だからこそ、『週べ』のヤクルト担当者は「冷静と情熱の間で」という絶妙なタイトルをつけたのだと思います。ぜひ、ご覧いただければ嬉しいです。

***

そして、『Number』の内山選手インタビューです。彼に話を聞くのは3回目だと思います。また、『スワローズ研究所』の公開収録でもお会いしているので、彼の人となりは大体把握しているつもりでした。

『スワローズ研究所』公開イベント楽屋にて

『スワローズ研究所』公開イベント楽屋にて

ところが、こちらもまた大西選手同様に、いい意味で期待を裏切られました。取材部屋に入ってきた瞬間から、とにかく表情が柔らかいのです。すでに何度か会っているインタビュアーだという気楽さもあったのかもしれませんが、とにかく穏やかで柔和な表情でした。

インタビューは試合開始前の神宮球場クラブハウスで行われました。取材終了後にはすぐに練習が始まり、その数時間後には試合が始まります。それでも実に穏やかで、さらに言えば堂々としている姿に公私にわたっての順調ぶりが感じられました。

インタビューの内容も刺激的でした。

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