増田珠の明るさについて、今さら考えてみた

2026年を振り返る・その6~あの「明るさ」の意味~
はせがわ 2026.10.20
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何から何まですばらしい、飛躍の一年に

何から何まですばらしい、飛躍の一年に

増田珠選手について、書いてみようと思います。

今季初めて規定打席に到達し、打率・293でセ・リーグ2位。123試合に出場して118安打、9本塁打。立派な成績です。しかも、3年前にはソフトバンクから戦力外通告を受けている。こうして経歴と数字を並べるだけでも、十分にドラマチックな話が書けそうです。

ところが、困ったことがあります。

僕は、増田選手のことを、あまりよく知らないのです。もちろん、ヤクルトに来てからのプレーは見ています。でも、本人にインタビューをしたことはないし、どういう性格で、普段何を考えているのかと聞かれたら、答えに詰まってしまいます。

僕の知っている増田選手は、とにかく明るい男です。元気があって、声が大きくて、チームを盛り上げる。ソフトバンク時代の先輩、松田宣浩選手の「熱男!」を受け継いで、「増男!」と叫ぶ。いわゆる「陽キャ」の選手。僕の中では、そういうイメージで、ほぼ完結していました。

ここで、ちょっと告白します。

僕は、どういうわけか、いつも明るく元気な選手には、あまり強い思い入れを持てないところがあります。嫌いなのではないんです。むしろ、チームにそういう選手がいてくれるのはありがたい。ただ、あまりに元気で、あまりに明るいと、何となく「この人は、僕が応援しなくても大丈夫そうだな」と思ってしまうのです。

何が大丈夫なのか、自分でもよくわかりません(笑)。

こちらが勝手に、熱心に「応燕」しなくても自力でやっていけそうだと決めつけているのでしょう。まったく、余計なお世話です。増田選手についても、たぶん、そうでした。

とはいえ、経歴をたどってみると、決して順風満帆な野球人生ではないことも知っています。横浜高校から2017年のドラフト3位でソフトバンクへ。入団後は思うように一軍での出番を得られず、右手首の手術も経験。高校時代に手術した箇所に入れたボルトが折れ、再手術に踏み切ったこともあったそうです。

そして2023年秋、戦力外通告。当時24歳。まだ若いとはいえ、プロ野球選手にとっては、目の前の道が一度途切れた瞬間です。後のインタビューでは、どの球団からも声がかからなければ、海外への語学留学も考えていたと話しています。

新天地のヤクルトでも、すぐにレギュラーをつかんだわけではない。出場機会は増えても、ベンチで出番を待つことの多い日々が続きました。あれほど元気に見える男にも、そういう時間があったのです。

苦しい時間を過ごした選手の話を聞くと、つい「辛かっただろうな」「悔しかっただろうな」と考えてしまいます。でも増田選手の場合、僕にはどうにも、そういう姿が浮かんでこなかった。試合で見かける彼があまりにも明るかったからです。それもまた、僕の勝手な思い込みなのはわかっています。

でも、今回、僕の目を引いたのは、戦力外通告そのものでも、故障の話でもありません。松田選手の「ある言葉」でした。2023年11月、ヤクルトへの入団会見で、増田選手が明かした言葉です。

師匠と慕う松田選手から、あの「増男!」について、こんな助言を受けていたというのです。

「恥ずかしいと思うけれど、そのキャラはやり通せ」

これを読んで、ちょっと手が止まりました。

「元気を出せ」でも「もっと盛り上げろ」でもない。「恥ずかしいと思うけれど」です。

なぜ、このひと言を添えたのでしょう。

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