「監督とは孤独なもの」、川崎憲次郎が語る髙津監督へのエール
3月21日、ニュースレター「スワローズが好きだ! ~いつも、気づけば神宮に~」のサポートメンバー向けに川崎憲次郎氏とのトークライブを配信。
前編の黄金時代の話題に続き、後編では“監督・髙津臣吾”について思うことをぶっちゃけてもらった。(取材・構成/武松佑季)
“監督・髙津”はエンターテイナー
長谷川晶一(以下、長谷川) 指導者としての髙津さんは川崎さんから見てどうですか?
川崎憲次郎(以下、川崎) 村上(宗隆)にしても(山田)哲人にしても、若手のスター選手とうまくコミュニケーションを取ってるのが髙っちゃんらしいと思いますね。
野村(克也)さんもうまくやってたけど、コニュニケーション術としては髙っちゃんはたぶんその上を行くんじゃないかな。
長谷川 野村さんとは明らかにアプローチの仕方が違いますよね。例えば、濱田(太貴)選手に対してはずっと「濱ちゃん」、一方で山田選手には「哲人」だし、村上選手には「ムネ」、呼び方や距離感はその人の性格に合わせて変えてると本人が言ってました。
川崎 選手はニックネームや下の名前で呼ばれるとけっこううれしいんですよ。野村さんがニックネームを使ったのは、明確に覚えているのは田中将大からですよ。「マー君」って言ってたのを見て衝撃を受けましたからね。
一度、時間があるときに野村さんに「僕らは一回も褒められたことがないのに、なんでマー君にはあんなに褒めるんですか?」と聞いたら「時代が違う」って。
そういう柔軟な野村イズムは、髙っちゃんにもしっかり受け継がれている気がします。
それと僕の思う髙っちゃん像はエンターテイナーでもある。
長谷川 2021年は「絶対大丈夫」というフレーズを使い、チームの士気を高めて日本一になりましたしね。
今年の開幕投手の発表も、まずヤクルトの公式Xで明日発表しますってことだけ伝えて、翌日に「奥川恭伸」と書かれた1枚の紙の画像をアップした。こういうファンの気持ちの盛り上げ方も、エンターテイナーな髙津さんらしかった。
川崎 髙っちゃんの特徴として、文字にしてバーンと表に出すことが多いじゃないですか。それが選手やファンに響くんですよ。
長谷川 監督1年目だった2020年の開幕戦は、コロナで無観客試合だったじゃないですか。あのときも直筆のスタメン表をSNSにアップしてました。
あれは球場に来られないテレビの前のファンに、開幕に向けてテンションを上げてほしい、少しでも参加した気分になってほしいって気持ちでやったと本人が言ってました。
川崎 すごく髙っちゃんらしい。
野村さんもミーティングで「ファンの人を喜ばせなさい、人を楽しませなさい」と事あるごとに言っていた。それが知らず知らず、髙っちゃんの頭の中にすりこまれたんじゃないかな。
長谷川 髙津さんの口癖の“チームスワローズ”は選手、首脳陣はもちろん、フロントやファンを含めたチームという意味。ファンを巻き込んで、みんなが同じ方向を向いてやらないと勝てないから使っているそうです。
川崎 ファンの声援って本当に力になりますからね。
「奥川は14、5勝はできる」
長谷川 監督6年目の髙津さん、どんどん痩せていくようで心苦しいんです。
川崎 監督業って大変なんですよ。勝ってナンボの世界でいろんなものを一身に背負わないといけない。神経もすごく使いますしね。
野村さんも落合(博満)さんも、監督業は「とにかく孤独だ」と言ってました。髙っちゃんもそうだと思うけど、悩みを誰にも話せないし、弱みを見せるわけにはいかないのは大変ですよ。
長谷川 僕、髙津さんの連載を担当して6年目なんですが、その前の小川(淳司)さんも監督時代に連載を2年間担当していて、シーズン中、定期的にクラブハウスに行って話を伺ってたんです。
小川さんの退任が決まり、その最後の取材で「なかなか関係者には言えないことも、部外者だからこそ取材で話すことができてすごく救われた」って言ってくださって。
先日久しぶりに小川さんにお会いしたときに「髙津監督もおそらくそういう状況だから、話を聞いて少しでもストレスを発散する手助けをしてあげてください」と言われました。
川崎 誰にも言えないって相当しんどいでしょうからね。
呼吸って吸ってばかりで吐き出さないと苦しいでしょ。でも監督は孤独で、吸っても吸っても吐き出せない。それを6年間も続けるってね……。しかも2年連続の5位からの今季だから、なんとかしなきゃって気持ちもあるだろうし。
長谷川 そんなシーズンでの開幕投手に奥川(恭伸)くんを指名した。これについてはどう思いますか?