川端慎吾、山田哲人、そして廣岡大志

あの日、夢見た景色、実現しなかった未来
はせがわ 2026.03.15
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すべてをやり切ったような清々しい表情が印象的でした

すべてをやり切ったような清々しい表情が印象的でした

WBC準々決勝の途中に失礼します。昨晩、一気に書き上げた記事です。川端慎吾、廣岡大志、バファローズファン、すべてが最高だった昨晩の思い出です。神宮に向かう途中、あるいは終了後にでもお楽しみください。

***

昨日の川端慎吾選手引退試合。感動的な光景でした。試合中から、いろいろなことを思い出しながら見ていました。これまで、彼には何回インタビューしたのかな? 手元に残っているインタビュー音源は4回分あるけど、テープレコーダー録音時代にも何回もお話を聞きました。

レギュラーの仲間入りをした頃、2015年優勝目前の心境、優勝直後の感動、首位打者を獲得した喜び、故障中に考えていたこと、引退を決めたきっかけ……。スターになる頃から引退まで、折に触れて話を聞きました。そうそう、妹・川端友紀選手の幼少期についてインタビューしたこともありました。

決して流暢ではないけれど、訥々と、丁寧に、誠実に語る姿は取材者としてはすごくありがたいものでした。そうだ。引退直後の昨年12月には「スワローズ研究所」のイベントで共演させてもらい、ステージ上では川端さんの隣で雑談をしながら、イベントを満喫しました。

いろいろなことを思い出しながら、感じながら、神宮球場の片隅で、彼の一挙手一投足を見つめていました。川端選手が打席に入るたび、応援歌が流れるたびに、「あぁ、この光景ももう見納め、この曲も聞き納めなのか?」と胸が苦しくなる思いでした。

そして、9回表二死からショートに就いた瞬間には泣きそうになりました。

(あぁ、あの頃、今とはまったく違うガラガラの神宮でいつも見ていた光景だ……)

そして、まさか彼の下に打球が飛ぶとは思いもしませんでした。……いや、野球ではしばしば「なぜか交代した人のところに打球が飛ぶ」というジンクスのようなものがあります。(ひょっとしたら打球が行くかもしれない……)と思いつつ、(でも、難しいゴロだと腰が心配だ。肩も満足に作っていないし、きちんとスローイングできるのかな?)と、大ベテランに対して失礼な心配までしていました。

すると、僕の心配をあざ笑うかのように、打球は力のない小フライ。回り込んだ川端選手が難なくキャッチ。スタンドからも、川端選手の笑顔がハッキリとわかりました。三塁側に座っていてよかった(笑)。

試合終了後の引退セレモニー。小川淳司さん、村上宗隆選手、そして髙津臣吾前監督のビデオメッセージにも泣きそうになりました。でも、何とか耐えることができました。花束贈呈で、ベンチから山田哲人が出てきた瞬間にはちょっとだけ涙がこぼれました。

引退あいさつの中での、「ライトスタンドの応援団のみなさま、『悲しみなんて笑い飛ばせ』のチャンステーマをこれからも使っていただけないでしょうか」、この言葉は最高でした。

後輩たちへの気遣いが感じられるとともに、「あぁ、この曲が流れるたびに、川端のことを思い出せる」と感激しました。

池山監督誕生以来、外野スタンドからは、かつて胸を熱くした池山のテーマがしばしば流れます。そのたびに、あの頃のことがよみがえって胸が熱くなります。

これからも、川端のチャンステーマが流れ続けることがあるのならば、少しだけ悲しみ、寂しさが和らぐような気がします。川端選手のこの言葉を聞いたときには、完全に瞳が潤んでしまいました。

でも、何とか涙腺決壊だけは耐えていました。サプライズ登場のファンモンのおかげで、湿った空気を明るくカラッとしたものに変えてくれました。

(涙など見せずに、今日は笑顔で送り出そうじゃないか……)

そう考えていたのですが、最後の最後にダメでした。そうです。廣岡大志です。廣岡選手の登場の瞬間、次から次へと涙があふれてきました。廣岡です。僕らが愛した、僕らが夢見た廣岡大志です。夢と希望の廣岡大志です

廣岡選手がスワローズを離れるとき、言い知れぬショックを受けました。同時に悲しみに包まれました。オレたちの、いや、オレの廣岡がチームを去るなんて……。あの頃、僕らは確かに夢とロマンに満ち溢れていました。

このすばらしい並びを見てください。

青木宣親……1982年1月5日(44歳)

川端慎吾……1987年10月16日(38歳)

山田哲人……1992年7月16日(33歳)

廣岡大志……1997年4月9日(28歳)

青木さんは早生まれですが、「青木、川端、山田、廣岡」と、5年刻みで華のある選手が並んでいます。このスターの系譜に必ず廣岡選手も名を連ねるはず。あの頃の僕は、何の疑いもなく信じていました。あるいは、背番号《36》の系譜もあります。

池山隆寛……84~91、00~02年

(03~05年は空白)

川端慎吾……06~11年

(12~15年は川上竜平)

廣岡大志……16~21年

三人とも大型ショートです。川上にも期待していたけど、一軍出場がないまま退団したのは残念でした。でも、それを払拭してくれたのが廣岡選手でした。フリーバッティングにしても、シートノックにしても、気がつけば廣岡選手に目が行ってしまう。天性の華とは、彼のような選手のことを言うのだと、僕は思っていました。

だから、21年開幕直前のトレードは本当に悲しかった。もちろん、代わりにスワローズに加入した田口麗斗選手は大きな戦力となり、同年の日本一、翌年の連覇の立役者の一人となっているので、本当にありがたいし、感謝しているのですが、それでも、(あぁ、廣岡大志……)と、ついつい考えてしまう自分がいました。

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