石川雅規が発し続けた「優しい言葉」
石川雅規投手の引退発表から10日以上が経過しました。一昨日の11日には、引退後初のインタビューを行いました。8月27日のジャイアンツ戦の心境。その日、球場ですでに引退を決めていたこと。その日の夜の家族への報告。現在の心境。今後のことなど多くのことを尋ね、彼は真摯に応えてくれました。このインタビューについては、近々、公開されます。
そして今、空いている時間を使って、過去6年間、彼に話を聞き続けてきたインタビューを改めて整理しています。2021年から「密着取材」を始めて6年目。折々に触れて、彼の「生の言葉」を聞いてきました。
彼の言葉はシンプルです。決して難しい言葉や横文字は多くありません。けれども、シンプルだからこそ、自身の体験に裏打ちされた「生の言葉」が、それを聞く者の耳に真っ直ぐに届きます。そして、それは本当に「優しい言葉」ばかり。彼の人柄がストレートに伝わってくるものばかりです。
ニュースレター読者のみなさんには、真っ先にお伝えしますが、先日の「引退会見」終了直後、ベースボール・マガジン社の担当編集者と打ち合わせをしました。そして、その場で「石川本第二弾出版」についての詳細を確認しました。
そうです、来春、いや来夏をめどに「石川本第二弾」の発売が決定。すぐに着手することとなりました。ここから、過去6年分のインタビューを再確認。彼が口にした「生の声」を整理することとなりました。繰り返しになるけれど、石川投手の言葉はシンプルで強い。そして、優しい。
その一例として、まずは記念すべき最初のインタビューからいくつかご紹介しましょう。2021年2月19日。浦添キャンプ中の発言です。
● 「毎年毎年やっぱり、すごい、怖さと不安がすごい自分の中にあるので、だからこそ練習をする」
→実績で飯は食えないとし、一軍定着の保証などないという強い危機感が日々の愚直なトレーニングの原動力になっていると語る。
● 「実績でグラウンドに立って関係ないというのも、逆に年齢でも関係ない。そういう意味では無差別級の戦い」
→ブルペンの凄い球や体格の差ではなく、バッターとの勝負(実戦)で評価されるべきだという投手としての矜持。
● 「170敗以上しているというのは、それだけゲームに携わっていると思いたい」
→松岡弘氏の「190敗したことが自慢・誇り」という言葉に深く共鳴。チームから求められ、ローテーションに穴をあけずマウンドに立ち続けた信頼の証として受け止めている。
● 「ルーキーのときと同じ、力み倒しましたよ。ほめてもらいたいとか、いいとこ見せたいというのがすごく出ました」
→古田敦也臨時コーチにブルペンで34球受けてもらった際のエピソード。41歳になってもルーキー時代と変わらない憧れと緊張感で力んでしまったと明かした。
● 「自分に限界をつくらない限り……リアルにぼくまだまだうまくなりたいし、なるって信じてます」
→200勝到達のためには220〜230勝するイメージが必要と語り、ロッカーに数値を貼っている山本昌氏を「生きる教材」として追い続ける姿勢を示した。
● 「敏感になる部分と鈍感にならないといけない部分がある」
→体の不調やケガに配慮する繊細さ(敏感)と、恐怖心に負けず過酷な練習や登板をやり抜く強さ(鈍感)を調和させて長年投げ続けてきたという持論。
● 「俺って小さいからこうなんだよね、とダメなとき言ったら楽なんですよ。それじゃいやなんですよね」
→身長(167cm)や環境を言い訳(逃げ道)にすることを徹底して拒絶するプロ精神。
実にいい言葉です。そして、自分でも驚くべきことに、こうしたインタビューがおよそ60回分もあるのです! 続けて、2022年のインタビューから、「石川語録」を紹介します。4月23日の阪神戦でこの年初勝利(通算178勝目)を挙げた直後の取材です。
初回1アウト満塁のピンチを最小失点で凌ぎ、2回以降は19歳捕手・内山壮真と三者凡退の山を築いた内容を振り返ります。若手捕手・内山との対等な意思疎通や、山田哲人からのマウンド上での具体的なアドバイス(ランナーの目での抑え方)、青木宣親の気合いの丸刈り&ホームランなど、チームメイトとの強い信頼関係と勝ち星の重みを語った回です。このとき、濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされていたつば九郎についての言及もあります。
