髙津臣吾前監督が語る今年の内山壮真、そして奥川恭伸は何が変わったのか?
昨日の悪夢は忘れて、何食わぬ顔での配信です。悔しかったけれど、これが昨年の優勝チーム、そして現在1位チームの圧倒的な強さなのでしょう。実力差はあるかもしれないけど、それでも必死に食らいつき、虎視眈々とCS争いを続けるだけです。
さて、先週日曜16日に髙津臣吾さんのトークイベントが行われました。先日発売された『愛と哀しみのスワローズ』(KADOKAWA)発売記念で開催されたもので、チケットは発売と同時に完売。それはホントにあっという間の出来事でした。
髙津さんと会うのは2カ月ぶりかな? ユニフォームを脱いで10カ月。ストレスから解放され、お元気そうで何よりでした。そこで本日は、ニュースレター読者のみなさんに、この日のイベントレポートをダイジェストでお届けしたいと思います。では、どうぞ。
——今年のここまでのスワローズをどう見ていますか?
髙津 スタートダッシュがすばらしくて、いきなり5連勝でのスタートでしたよね。ビジターで始まって、ベイスターズを3タテしてスタートしたわけだけど、目に見えない「流れ」とか、「勢い」とかっていうのは改めて感じましたね。で、交流戦ぐらいからちょっと状態が悪くなって、なかなか勝てない7月、8月があって今、盛り返しつつある。なかなかチームがうまくいかないときもあるし、逆に言えば何もしなくてもチームがうまく動くときもあったりする。やっぱり野球って奥深いなって感心しているところですね。
——今プレーしてる選手たちは、髙津さんの時代の6年間一緒にやった選手ばかり。その選手たちの見え方の違いや新たな発見などはあったりしますか。
髙津 僕が監督をやっているときももちろん一生懸命、「この選手、何とかならないかな」と見ていたんですけど、いったん離れてみると、今、池山監督が指揮を執られていますけど、気づくことはたくさんありますね。「こうしたら、こうなるんだ」とか、「こうしておけばよかったのかな」とか、「これは僕の考えも間違いじゃなかった」とか、いろいろ気づくことはたくさんありますよ。特に選手の動きであったり、今年すごく頑張ってる選手も何人かいますよね、数字も出ている選手もたくさんいますけど、「こういう使い方をしていたら、またちょっと違うんじゃないかな」というのは感じますね。
——例えば池山さんが監督になってすぐに内山壮真選手を内野にコンバートしたり、「ダイヤモンドは白紙だ」と一度全部リセットするとか、新監督ならではの取り組みだと思うんですけど、今、おっしゃった、「自分がやってたときにはこの発想はなかった」とか、「こんな成長するんだ」とか、あるいは「自分のやり方は正しかったんだ」とか、例えば、誰ですか。
髙津 例えば、僕は壮真のセカンドはまったく考えなかったですね。なぜなら、(山田)哲人がいるから。哲人は絶対使う、使わなきゃいけない選手だから。だから、そこはまず考えなかった。でも、壮真に関してはいきなり、入団してすぐのオープン戦でショートで使ったことがあるんですよ。そのときはまだ(長岡)秀樹も一軍の選手じゃなくて、壮真は高校時代にショートを守っていたということもあって試してみました。
——昨年までの内山選手は主に外野起用が中心でした。
髙津 去年、ムネ(村上宗隆)がサードを守っていたけど、シーズン途中で怪我をした。そのときは、ムネの代わりに茂木(栄五郎)がサードを守ったり、タケ(武岡龍世)も守ったのかな? でも本音は壮真を守らせたかった。結局は「ある事情」があって……、「ある事情」とか、こういうところできちんと言わないとダメだよね(笑)。ちょっとひじに不安があったので、サードよりもレフトで使った方が負担が少ないかなという理由があって、基本的には外野起用になった。池山監督がどういう意図で、壮真をセカンド起用しているのかは、やっぱり中に入ってみないとわからないけど、いろいろなことがあっての今年のスワローズじゃないかなと思いますね。いったん離れてみて、去年との違いであったり、「おそらくこうなのかな」っていうのが改めてわかってきたという感じですね。
——ピッチャーに関してはどうですか?
髙津 僕がプレッシャーをかけすぎたのかわからないですけど、解き放たれた選手が多いですね(笑)。高梨裕稔を筆頭に、山野太一とか、亜細亜大学の後輩の松本健吾とか。あんなに勝つとは思わなかったもん、正直。そして、ヤス(奥川恭伸)も頑張っている。ピッチャーに関しては本当にいい方向にいってるんじゃないかなと思いますね。
——今おっしゃった高梨、山野、松本投手。確かに今年前半はあの3人の存在がすごく大きかったですね。
髙津 山野はそこそこ力もついてきて、経験も積んできていましたけどね。前に一度、山野を怒鳴り上げたことがあったんですよ。監督時代、アイツをいちばん監督室に呼んだかもしれないですね。目の前に座らせて、紙に書きながら、「ああだ、こうだ」と何回叱ったかわからない。
——その抑圧から、ついに解放された(笑)。
髙津 そう、ついに解放された。ようやく解き放たれて、羽が生えて、飛び去っていった(笑)。気持ちよく大空を飛んでいる山野投手。何しろ、ファン投票1位ですからね。昔を知ってる僕らからしたら、嬉しいけど、ついつい笑っちゃいますけどね。本当にすごいことです。もちろん、ずっと期待していたんですよ。スワローズには左ピッチャーが少ないし、期待値はとても高かったですよ。(高橋)奎二も、もちろんですけど。
ここで話題は「ヤス」こと、奥川恭伸投手について。『愛と哀しみのスワローズ』において、もっとも多く登場したのが奥川投手でした。
——この本の中で、これまでの髙津さんの道のりをずっと伺ってきたけど、一軍監督6年間の話だと奥川投手の話がいちばん多かった印象があります。
髙津 いちばん思い出深いというか、僕が監督になった初仕事ですから。就任早々、ドラフトでヤスを指名して、僕がくじを引いて、巨人、阪神というライバルチームをそこでまず阻止したわけですよ。そのときのNo.1のピッチャーだと思って指名させてもらって、「コイツを大エースにしなきゃいけない」という自分の中のプレッシャーもありましたね。
——髙津さんにインタビューをしていても、「ヤス」という言葉が頻出しました。かなり思い入れが強い選手だということは、よく理解できます。
髙津 ヤスの場合、「心に残る」というか、「思い出に残る」ことがたくさんあるんですよ。彼とのつき合いは6年間ですけど、ドラフトでくじを引き当てたこともそうですし、怪我をしたこともそうだし、日本シリーズを投げたこともそうだし、CSで投げたこともそうだし、何かうまくいかなかったこともそうだし、すごく頭に残る出来事が多かったかな。なので、「かわいかった」っていうか、心に残る選手でしたね。
そして、ここから、「前監督から見た、今年の奥川」について話題が及びます。今年の奥川投手は何がいいのか、どこが変わったのか?



