「まだまだこんなもんじゃないぞ、と腹の中では思ってます」

奥川恭伸インタビューより
はせがわ 2026.08.08
サポートメンバー限定
5月31日・楽天戦でのヒーローインタビュー

5月31日・楽天戦でのヒーローインタビュー

今、奥川恭伸投手の原稿を書いています。昨年秋、今年の春、そして開幕後に2回。定期的に彼に話を聞いてきました。それらの発言を基に、5000字程度の記事をまとめています。

ということもあって、昨日の試合は普段以上に息を呑んで見守っていました。試合時間2時間36分。長かったような、あっという間だったような、不思議な感覚でこの配信記事を書いています。

いやぁ、長かった。苦しかった。辛かった。けれども、奥川投手がその右腕で、こうしたイヤな感情をすべて洗い流してくれました。見事なピッチングでした。仙台での勝利も、博多での投球もすばらしかったけれど、昨日の登板はさらに輪をかけて見事だった。

古賀優大選手の強肩も最高だったし、長岡秀樹選手の逆方向への一発もすごかった。さらに、8回裏の内山壮真選手の好守連発もすごかった。ダイビングキャッチの瞬間は、先日の左肩脱臼が頭をよぎり、一瞬、背筋が凍りついたけれど、何事もなさそうで本当によかった。

何よりも奥川投手が本当にすごかった。僕らが思い描いていたような「あの奥川」がようやく帰ってきた。そんな手応えを感じる見事なピッチングでした。

冒頭で述べたように、僕は今、奥川投手の原稿を書いています。過去に行ったインタビューを改めて聞き直し、この10カ月の間の彼の心境の変化、心の揺れのようなものをいかに文章に定着させるか? ここ数日はそればかり考えています。

今年のインタビューにおいて、彼は言いました。

「まだまだこんなもんじゃないぞ、と腹の中では思ってます」

ここまで強い言葉を言い切ることはあまりなかったので、僕は「おっ」と思いました。さらに続けて、こう言いました。

「まだ天井は先にあるんじゃないかな。“かな”っていうか、先にあります。“こんなもんじゃない”っていうのは思ってます」

改めて、この箇所を聞き直しました。震えました。ポイントはここです。

「……“かな”っていうか、先にあります」

ここです。彼は断言しました。「まだ先にある」と。無粋を承知で、この箇所の彼の心の動きを厳密に表現するとしたら、こうなるでしょう。以下、僕の補足を含めると、こうなります。

「まだ天井は先にあるんじゃないかな(、たぶん。いや、ないかもしれないな。いやいや、そんなことはないよ、あるよ。あるに決まってるだろ。だって、こんなに充実した手応えを感じているんだから。そうだよ、“かな”とか弱気なことを言うなよ、オレ)。“かな”っていうか、先にあります」

先ほど、改めてこのパートを聞き直して、ほんの一瞬の間に、彼の心の動きが見えたような気がしました。今回のインタビューでは本当に力強い発言が続きました。その一方では、過去の自分を振り返ったときに垣間見える心の揺れもたくさんありました。例えば、こんな発言です。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、1597文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら