46歳の夏——「決められない男」・石川雅規は今、何を思うのか?

石川雅規20年連続記念Tシャツを着て
8月2日、酷暑の戸田球場へ。目的は、石川雅規投手の久々の先発登板を見るため。そして、試合後にインタビューをするため。
試合前のブルペン。石川投手は黙々と投げ続けています。ナーバスになっているかもしれない。邪魔をしてはいけないからと、少し隠れたところから「チラ見」していると、後ろから「おっ、何しとん?」と聞きなれた声で話しかけられました。
伊藤智仁コーチでした。僕は「石川さんを見に来た」と告げると、伊藤コーチは大声で言いました。少し先には、石川投手がいます。
「おいマサ、長谷川くんが来とるぞ!」
僕は慌てて言います。
「試合前なんだから、余計なこと言わないでくださいよ」
すると伊藤コーチは言いました。
「何年、やっとると思ってるの? 百戦錬磨の投手ですよ。こんなことじゃ、ビクともしないですよ、マサは」
なるほど、そういうものなのか……。プロ25年目、46歳。通算188勝のリビングレジェンドは、この程度のことでは動じないものなのでしょう。でも、長居は無用。試合前のルーティンの邪魔をしてはいけないと思い、石川投手に軽く会釈して、僕は逃げるようにその場を去りました。
そして、試合が始まります。しかし、投球内容は芳しいものではありませんでした。4回67球、5失点。初回の2被弾4失点を含む厳しい内容で降板。重苦しいムードのまま試合は進みます。僕はすぐに球場を後にします。降板後、軽い練習の後にシャワーを浴びてから、戸田寮でインタビューすることになっていたからです。
そして、戸田寮で待機していると、しばらくしてから石川投手が現れました。
「何でも聞いてください。事実は事実なんで……」
ノックアウトされた直後のインタビュー。インタビュアーとしては、とてもやりづらいものです。しかし、開口一番、「何でも聞いてください」と言ってくれたことで、一気に聞きやすい雰囲気が出来上がります。この気遣いができるのが「石川雅規」という人物なのです。
インタビュー自体は60分ほど続きました。さらにそこから、石川投手が主導する形で「雑談」という名の「人生論」「職業論」が続きました。その一端をまとめたものが、本日公開されたこの連載原稿です。
詳細はこの記事を読んでいただきたいと思います。読んでいただければおわかりのように、「46歳、プロ25年目の夏。現時点で一度も一軍登板がない」という現状を主題にインタビューは進み、原稿もその点を中心にまとめました。
この記事を読んでもらえばわかるように、8月になっても一度も一軍登板がないということは、これまで一度もありませんでした。46歳にして初めて経験するこの状況に、石川投手もとまどっていました。いや、「とまどっていた」のではなく、「弱気になっていた」ように、僕には感じられました。
「正直しんどいですよ。8月のこの時点で一軍に上がっていないなんて。僕、46歳ですからね。冷静に考えたらキツいなっていうのはリアルに思います。客観的に見て、普通だったら、“この年齢でここにいたらキツいよね”と思われる状況だし、自分でもそう感じます。周囲の声を見ても《厳しい現実》があるのは当然だし、ついつい悲観的に考えがちになりますよね……」
この連載は2021年から始まりました。すでに6年目に突入しています。この間、ずっと話を聞き続けてきましたが、こんなことは初めてでした。
