祝開幕!! いじられ吉村貢司郎の晴れ舞台!!
みなさん、あけましておめでとうございます。「プロ野球ファンには正月が三回ある」とはよく言われていることですが、1月1日のリアル正月、2月1日のキャンプイン、そして開幕戦当日と、順を追って、ようやく三度目のお正月を迎えました。
いくら、ほぼ最下位予想しかない順位予想だとはいえ、どんなチームにも、どんなファンにも開幕はやってきます。「おたくのチームは弱すぎるので、開幕は2カ月後に延期します」なんてことがないのがプロスポーツ界のいいところ。胸を張って、この日を喜びましょう。
さぁ、我らがスワローズの開幕投手はプロ初となる吉村貢司郎投手です。そして、まさにジャストタイミングで、現在発売中の『週刊ベースボール』には吉村貢司郎インタビューが掲載されています。インタビュアーは僕です。
これまで一度だけ、彼にインタビューをしたことがありましたが、今回は開幕前の大事な時期に時間をもらい、開幕にかける心境、今季の目標について尋ねました。
……ひと言で言えば「めちゃくちゃ楽しかった」です。実はこのインタビューの直前に、髙津臣吾前監督、そして伊藤智仁投手チーフコーチと話す機会があり、吉村投手の話題となりました。
「アイツはねぇ、面白いですよ。でもね……」(髙津)
「吉村インタビュー? どんどんツッコんで。アイツ、おもろいから」(伊藤)
前監督と現コーチからのお墨付きをもらっていたので(笑)、「ぜひ、いろんなことを聞いてみよう」と決意をして、取材現場に臨みました。噂通り、おっとりしたしゃべり方で、そこにいるだけでほんわかした雰囲気が漂います。
確かに、プロ野球選手では珍しいタイプです。声も小さくて、取材中に(きちんと録音できているかな?)と不安になり、思わずレコーダーを吉村投手に近づけてしまいました(笑)。
開幕投手の意気込み、昨シーズンを経て今季取り組んできたこと、その手応えについて話題が及んだ後、髙津さん、伊藤コーチの言葉を伝えました。
「吉村なら何でも答えてくれるから、ズバズバ切り込んでいい。お二人からそう言われています」
そう伝えると、やはりほんわかした表情で、「そうなんですか、困ったな」と笑っています。髙津さん、伊藤コーチからは「アイツはいじった方が面白い」というニュアンスのことを聞いていたので、まずはその点について尋ねました。
――チーム内では「吉村はいじられキャラだ」と思われているそうですが、実際のところはどうなんでしょうか。
吉村 確かに、ありがたいことにみんながいじってくれますね(笑)。きっと、どんなことにもすべて反応するからだと思います。無意識のうちに、ついつい反応してしまうんです。別に狙っているわけじゃないんですけど……。
そう言えば、今年の春季キャンプでは、木澤尚文投手がしばしば吉村投手のことをからかっているシーンが目立ちました。ともに98年生まれですが、学年で言えば吉村投手の方が1学年上です。それでも、両者の間には年齢、キャリアの壁はまったくないように見えました。
そうだ、こんなこともあった。ブルペンで、プロ4年目の坂本拓己投手が投げていたときのことです。彼のピッチングをずっと見守っていたのが伊藤コーチでした。坂本投手のストレートが音を立ててキャッチャーミットに吸い込まれます。伊藤コーチは大声で言いました。
「いいぞ、坂本。吉村よりいいストレート、投げてるぞ!!」
すると、同じくブルペンで投げていた吉村投手が叫びます。
「トモさん、現役時代のトモさんと同じ背番号なんですから、そんなこと言わないでくださいよ!」
その瞬間、何とも穏やかなムードに包まれました(笑)。
さて、インタビューの続きです。先ほどの返答を受けて、話題は「メンタルコントロール」に及びます。マウンド上で、どうしていつも淡々としているのか? 決して感情の浮き沈みを感じさせないのはどうしてなのか? 「感情を一定に保つ」と発言した彼の言葉を受けて、質問を続けます。
――「感情を一定に保つ」というのは口にするのは簡単ですが、実践するのは難しいと思います。
吉村 確かに難しいかもしれないけど、ベクトルの問題だと思います。
彼が口にした「ベクトル」という言葉から、話題はさらに広がっていくのですが、それはぜひ本誌にてご確認ください。ということで、ここからは、『週刊ベースボール』で書ききれなかったやり取りを一つだけ。
先に紹介した髙津前監督の言葉ですが、
「アイツはねぇ、面白いですよ。でもね……」
この「でもね……」に続く発言は「でもね、とにかく立ち上がりが悪い。何とかするように伝えておいてください(笑)」というものでした。そこで僕は、この言葉を吉村投手に伝えます。すると、この日いちばんの笑顔になりました。
